スキャンしたページは、文字ではなく画像です。文字を検索して個人情報を探すツールは、氏名が並んだページでも何も見つけられず、「個人情報は見つかりませんでした」と表示します。スキャンを黒塗りするには、画像から文字とその位置を読み取り、その部分の画素を塗りつぶす必要があります。どの手順も、失敗したときに表に出にくいのが厄介なところです。
「見つかりませんでした」が一番危ない
複合機でスキャンした契約書をPDFビューアーで開き、氏名をマウスで選んでみてください。選べないはずです。ページにあるのは文字の形をした画素だけで、文字のデータはありません。探す文字がないので、文字を検索するツールは何も見つからなかったと報告します。
エラーが出れば誰でも気づきます。この失敗は、「問題なし」という結果として表示されます。画面におかしな点がないので、そのまま信じてしまい、誰も確かめません。スキャンの失敗はほかにもあります。手で描いた黒い四角は、画像の上に図形を重ねただけで、下の文字は消えていないことがあります。メタデータや、以前に付けられた文字の層から元の文字が漏れることもあります。
日本語のスキャンで読み取りがつまずく場所
まず、OCRは文書の言語に合ったデータで読む必要があります。promptShieldは、文書の言語のOCRデータに英語のデータを組み合わせて読みます。英語のデータは、メールアドレスの@などの記号を読むのが得意だからです。日本語のOCRデータが入っていない状態で読むと英語のデータで読まれ、返ってくる文字は日本語として意味をなさず、検出も空振りします。日本語のデータで読んでも、苦手な部分は残ります。
- 縦書き。現在の日本語OCRデータは横書きの文字を読むためのもので、縦書きのページは正しく読み取れません。縦書きの文書は、検出に頼らず、手で領域を描いて覆ってください。
- 印影。朱肉の印影には氏が刻まれていることがよくありますが、文字としてはまず読み取られません。手で領域を描いて覆います。
- ファクス。ファクスで受け取った文書は解像度が低く、画数の多い漢字がつぶれていることがあります。
- 人名の珍しい漢字と半角カタカナ。人名に使われる珍しい漢字や、振込先の口座名義などの半角カタカナは、読み違いが起きやすい部分です。
- OCR付きのPDF。複合機が付けた見えない文字の層が画像の上にある場合、画像だけを塗っても、その層から文字をコピーできることがあります。仕上がったファイルの黒塗り部分を選んでコピーし、何も貼り付けられないことを確かめてください。
promptShieldがスキャンを黒塗りする流れ
スキャンで回ってくるのは、押印済みの契約書、本人確認書類の写し、診療記録、履歴書、手書きのメモなど、機密性の高い文書が中心です。こうした文書をクラウドの黒塗りサービスに送れば、その時点で文書は社外に出ています。promptShieldでは、次の作業をすべてパソコンの中で行い、スキャンした文書がパソコンの外に出ることはありません。
- ページを読み取り用の画像にする。300dpiで描画します。画面表示用の粗い画像では、文字を正しく読み取れないことが増えます。
- 文字と、その文字の枠を読み取る。文字ごとの位置がわからなければ、ページに氏名があることはわかっても、どこを塗ればよいかがわかりません。
- 個人情報を探す。文字のある文書と同じ方法を使います。決まった形の情報はパターンで、氏名などは検出モデルで探し、そのあと誤検出を取り除きます。
- 人が確認する。読み取りが完全になることはないので、見つけたものを人が確かめます。既定では、確認済みにするまでファイルはダウンロードできません。氏名を一つ見落とすだけで、その文書は守れていないことになります。
- 画素を塗りつぶし、元の画像を取り除く。該当する部分を塗りつぶした新しい画像をページに置き、元の画像はファイルから削除します。削除できたことを確かめてから差し替え、削除できなかったページは失敗として報告します。コード化した部分は、コードを見えない文字としてページに書き込むので、あとでデコードできます。
文字のあるPDFでも原則は同じで、内容が消えていなければ、黒い印は黒塗りになりません。詳しくは法律文書のPDFをクラウドを使わずに黒塗りする方法をご覧ください。仕組みを自社で作った理由は独自の検出エンジンを作った理由に書いています。
Acrobatでも複合機でも、文字の読み取りは別の手順です
Adobeの日本語の学習ページ「紙からPDF」は、スキャンしたファイルについて「テキスト認識を選択して、テキストの検索と編集を可能にします」と案内しています。Acrobatで語句を検索して墨消しをするなら、先にこの操作を済ませておく必要があります。複合機でも、スキャンしたPDFに文字の層を付けるかどうかは、たいていスキャンの設定で選びます。どちらも、画像を文字にする作業を、黒塗りとは別の手順として扱っています。違いが出るのは、その手順を人が覚えておく必要があるか、ツールが自動で行うかです。覚えておく必要のある手順は、いつか抜けます。
よくある質問
スキャンしたPDFで、ツールが「個人情報は見つかりませんでした」と表示したのはなぜですか?
ツールが文字を検索し、スキャンには文字のデータがなかったためです。画像の中の文字を読み取るツールでなければ、スキャンの個人情報は見つかりません。
スキャンを黒塗りすると、文字で検索できなくなりますか?
もともと文字の層がないスキャンは、処理後も画像のままです。promptShieldは置き換えたコードを見えない文字としてページに書き込むので、コードは検索でき、あとで元の値に戻すこともできます。
黒塗りしたスキャンから、消した文字を取り出せることはありますか?
画素が塗りつぶされ、元の画像も文字の層も残っていなければ、取り出せません。画像を塗っても古い文字の層が残っていれば、見た目は黒塗りでも、コピーすると元の文字が出てきます。
スマートフォンで撮った写真でも使えますか?
使えます。JPEG、PNG、TIFF、BMP、WebPの画像を読み込めます。iPhoneの写真はHEIC形式で保存されていることが多く、その場合はJPEGで書き出してから追加してください。スマートフォンの写真は傾き、影、見切れが起きやすく、読み取りの精度が落ちます。平らな場所で、明るさのむらがないように撮り、検出結果を確かめてください。